未経験からトラック運転手になる完全ガイド|必要な免許・費用・入社後の流れ
※免許制度・費用は変更される場合があります。詳細は教習所や各都道府県の公安委員会でご確認ください。
地方でトラック運送会社を経営しています。ドライバーを20名ほど雇っています。
「トラック運転手になりたいけど、何から始めればいいのか分からない」
面接でも、よくそう言われます。実際、免許の種類も複雑ですし、ネットの情報も古いものが混ざっていて分かりにくいです。
この記事では、採用する側の立場から、未経験の方が知っておくべきことを順番にまとめます。
うちの社員、7割は未経験からです
先に、一番安心してほしいことを書きます。
うちで働いているドライバーの7割ほどは、未経験から入った方です。運送業の経験があって入ってきた人の方が、むしろ少ないくらいです。
前職も本当にバラバラで、パチンコ店で働いていた方、工場勤務だった方——業界とはまったく関係のない仕事から来た方がほとんどです。
つまり、「未経験だから不利」ということは、この業界に関してはありません。むしろ未経験が普通です。
結論:まずは「今の免許で何が運転できるか」を確認する
最初にやるべきは、教習所に行くことではありません。自分の運転免許証を見ることです。
実は、普通免許で運転できるトラックの大きさは、免許を取った時期によって違います。ここを知らずに「自分には大型が必要だ」と思い込んでいる方が、とても多いです。
免許を取った時期で変わります
- 2007年6月1日までに普通免許を取った方 → 車両総重量8トン未満まで運転できます(中型8t限定)
- 2007年6月2日〜2017年3月11日に取った方 → 車両総重量5トン未満まで(準中型5t限定)
- 2017年3月12日以降に取った方 → 車両総重量3.5トン未満まで
特に、年齢が上の方ほど有利です。2007年より前に免許を取っていれば、それだけで4トントラック(一般に「4t」と呼ばれるクラス)が運転できることが多く、追加の免許なしで働けます。
免許証の「種類」の欄を見て、分からなければ面接で聞いてください。私たちは毎日見ているので、すぐ判断できます。
トラックの免許は4種類あります
準中型免許
- 運転できる車:車両総重量7.5トン未満(2トン〜小型4トンクラス)
- 18歳から取得可能(運転経歴がなくても取れます)
- 費用の目安:普通免許を持っている場合で15万円前後
「まずは小さいトラックから」という方に向いています。
中型免許
- 運転できる車:車両総重量11トン未満(4トンクラスが中心)
- 20歳以上+普通免許などの運転経歴2年以上
- 費用の目安:20万円前後
地場配送で一番よく使う車格です。求人も多いです。車格ごとに仕事の中身がどう変わるかは、最初に選ぶ車格の記事に詳しく書きました。
大型免許
- 運転できる車:車両総重量11トン以上(10トン車、トレーラーのヘッドなど)
- 21歳以上+運転経歴3年以上
- 費用の目安:30万〜40万円前後
給料は上がりますが、いきなり大型に乗る必要はありません(後述します)。
牽引(けん引)免許
- トレーラーを引くために必要
- 大型+牽引だと、収入はかなり上がります
2022年から、若い方の条件が緩くなりました
- 「受験資格特例教習」という制度ができました(2022年5月施行)
- これを受けると、19歳以上・運転経歴1年以上で中型・大型が取得できます
- 若くして大型に乗りたい方は、教習所で相談してみてください
ここまで読んで、「実際の求人はどうなっているんだろう」と思われたら——
先に求人を1つ2つ見ておくと、この続きが具体的に読めます。
免許は「自腹で取らなくていい」場合があります
多くの方が「免許を取ってから応募しよう」と考えます。でも、順番が逆でも大丈夫なことがあります。
免許取得支援制度とは
運送会社の中には、入社後に会社が免許費用を負担してくれるところがあります。私たちの業界では珍しくありません。
なぜかというと、会社としても人手が足りないからです。30万円払ってでも、長く働いてくれる人に来てほしい。それが本音です。
ただし、条件があります(正直に)
- 一定期間働くことが前提(例:2〜3年以内に辞めたら費用を返す、など)
- 取得中の給与の扱いは会社によって違う
- すべての会社にある制度ではない
「縛られるのが嫌」と感じるかもしれません。でも、30万円を自分で払うか、働きながら取らせてもらうか——これは大きな違いです。
面接で必ず聞いてください
- 「免許取得の支援制度はありますか?」
- 「ある場合、条件(勤務年数など)はどうなりますか?」
- 「取得中の給与はどうなりますか?」
ここをきちんと説明してくれる会社は、信頼できます。
正直に言うと、うちに大型免許の支援はありません
「支援制度がある会社を選べ」と書いておいて、自分のところを黙っているのはフェアではないので、正直に書きます。
うちには、大型免許やトラック免許の取得支援はありません。
ただし、フォークリフトの資格については支援していて、これまで10人ほどに取ってもらいました。条件は特に細かく決めていませんが、目安として半年以上働いてくれた方にお願いしています。
そして、資格を取った方は、ほとんど今も残ってくれています。
これは会社側の本音ですが、資格を取らせるということは、その人に長くいてほしいという意思表示でもあります。だから支援制度がある会社は、人を育てる気がある会社だと考えていいと思います。
つまり、私が言いたいのはこういうことです。
支援制度の有無は、会社によって本当にバラバラです。うちのように「大型はないが、リフトはある」という会社もあります。だからこそ、求人票だけで判断せず、必ず面接で聞いてください。
ちなみにフォークリフトの資格は、運送業ではかなり役に立ちます。荷役作業ができると、任せられる仕事の幅が広がるからです。うちでは20人のうち10人が持っています。
うちのように支援のない会社に入る場合、トラックの免許は自分で取ることになります。
自分で取るなら、泊まり込みで通う合宿の教習所もあります(広告)。
未経験の入社後の流れ(うちの場合)
「入ったらすぐ一人で走らされるのでは」と不安な方が多いので、実際の流れを書きます。
1. 座学・書類(数日)
交通ルール、点呼のやり方、日報の書き方、安全教育など。運送業は法律で決められた教育があるので、ここは必ずやります。
2. 同乗研修
先輩の助手席に乗って、ルートや荷主先の作法を覚えます。ここが一番大事な期間です。荷物の積み方、待機場所、挨拶の仕方まで、現場でしか学べません。
では、その作法を外すとどうなるのか。荷主先で嫌われるドライバーの特徴に、苦情になった場面と、逆に褒められた場面を並べて書きました。
3. 一人で乗る(近距離から)
いきなり難しいルートには行きません。近場・簡単な荷物から始めて、徐々に広げます。
この期間の長さは会社によって全然違います。「明日から一人で行って」という会社もあります。そういう会社は、正直やめておいた方がいいです。
うちの同乗研修は1〜2週間です
参考までに、うちの場合は先輩と一緒に乗る期間が1〜2週間ほどです。
「短くない?」と思われるかもしれませんが、地場配送でルートが決まっているので、この期間で覚えられます。長距離や、荷主先が多い仕事なら、もっと必要でしょう。
大事なのは期間の長さそのものより、「一人にする前に、ちゃんと同乗する期間があるか」です。ここがゼロの会社は、人を育てる気がありません。
面接で聞くこと
「同乗研修はどれくらいの期間ありますか?」
最初はどの車格から始めるべきか
「大型の方が給料がいい」——これは事実です。でも私は、未経験の方にいきなり大型は勧めません。
理由は3つあります。
- 大型は車両感覚がまったく違い、事故のリスクが高い
- 大型は長距離が多く、生活リズムが激変する
- 小型・中型で経験を積んでからでも、大型には行ける
おすすめは、まず2トン〜4トンの地場配送から。毎日家に帰れて、車も扱いやすい。ここで「自分に運送業が合っているか」を確かめてから、ステップアップするのが安全です。
急がなくても、この業界は逃げません。人手不足はしばらく続きます。
未経験でも採用される人の特徴
採用する側から見て、免許や経験より大事なのはここです。
- 時間を守る(面接に5分前に来る。これだけで印象が変わります)
- 素直に聞ける(変なクセのある経験者より、素直な未経験者の方が伸びます)
- 健康である(持病があっても、管理できていれば問題ありません)
- 辞めた理由を人のせいにしない
詳しくはドライバー面接で落ちる人の特徴6つにまとめています。
収入の目安(正直な話)
求人票の「月給35万円〜」を鵜呑みにしないでください。多くは歩合と残業込みの最大値です。
未経験スタートの場合、最初は求人票の下限に近い金額から始まることが多いです。経験を積み、車格を上げ、長距離に乗るようになると上がっていきます。
大事なのは基本給がいくらか。ここを面接で必ず確認してください。詳しくはブラック運送会社の見分け方7つで解説しています。
未経験可の求人を探すには
ここが実は一番のハードルです。
一般の求人サイトだと、運送業の情報が浅く、「未経験可」「研修あり」「免許取得支援あり」といった条件で絞り込みにくいことが多いです。
- ドライバー専門の求人サイトを使う(条件が細かく書かれています)
- 複数のサイトに登録しておく(サイトごとに掲載企業が違うため、免許支援あり・研修ありの求人を見つけやすくなります)
- 最低3社は比較する(同じ地域でも条件が驚くほど違います)
「未経験OK・免許取得支援あり」の求人を探す
トラックマンジョブで求人を探す未経験でも、思っているより壁は低いです
やることの順番
- まず自分の免許証を見る(取得時期で運転できる車が違う)
- 免許が足りなくても、いきなり教習所に行かない
- 「免許取得支援あり」の求人をまず探す
- 面接で「支援制度・同乗研修・基本給」を確認
- 最初は2t〜4tの地場配送から
運送業は、人手が足りていません。だからこそ、未経験でも受け入れる体制がある会社が確実に存在します。
大事なのは、その体制がある会社を選ぶこと。焦らず、比べて決めてください。
同じ業界の人間として、応援しています。