40代・50代未経験でもトラック運転手になれるのか【採用側の本音】
※記載内容は筆者個人の経験に基づく見解です。採用基準は企業により異なります。
地方でトラック運送会社を経営しています。ドライバーを20名ほど雇っています。
「もう40代なんですけど、未経験でも大丈夫でしょうか」
面接でも、問い合わせでも、これを一番よく聞かれます。だから今日は、採用する側の本音ではっきり答えます。
結論から言います。まったく問題ありません。むしろ歓迎しています。
お世辞ではなく、業界の構造がそうなっているからです。データで説明します。
データで見ると、40代・50代が「主力」です
まず、業界全体の年齢構成を見てください。
- 大型トラックドライバーの平均年齢:約47.5歳
- 中型トラックドライバーの平均年齢:約45.4歳
- 全産業の平均年齢:約43.7歳
さらに、年齢層の割合はこうです。
- 50歳以上:約49.7%
- 40歳以上50歳未満:約25.4%
- 40歳未満:約24.9%
40代以上で、業界の約4分の3を占めています。
つまり、40代・50代は「高齢」でも「遅い」でもありません。この業界では、ど真ん中の主力層です。
なぜ40代・50代が歓迎されるのか(本音)
正直に言うと、若い人がなかなか入ってこないからです。国の試算では、対策をしなければ2030年に輸送能力が約34%不足するとされています。
でも、それだけが理由ではありません。採用する側として、40代・50代を積極的に採りたい理由が、実際にあります。
1. すぐ辞めない
これは大きいです。20代は数ヶ月で辞めることも珍しくありません。家族を持ち、生活の基盤を考えている40代・50代の方は、腰を据えて働いてくれる方が多いです。
2. 社会人としての土台がある
ドライバーは荷主先に出向きます。会社の看板を背負って、相手先の担当者と話します。挨拶ができる、報告ができる、無理を言われても冷静でいられる。これは社会人経験がある方の強みです。
実は、この部分で苦労するのは若い人の方が多いです。
3. 事故を起こしにくい
これは意外に思われるかもしれません。でも、若くて運転に自信がある人ほど、無理をします。
40代・50代の方は「危ないことはしない」という判断ができます。運送業では、速く走れる人より、事故を起こさない人の方が圧倒的に価値があります。
では、何を見られているのか
年齢を気にする必要はありません。ただし、採用する側が40代・50代の方に対して確認していることは、正直にあります。
1. 健康状態
これは年齢に関係なく確認しますが、40代以降はより丁寧に見ます。長時間の運転、荷物の積み下ろし、不規則になりがちな生活に耐えられるか。
ただし、持病があること自体はマイナスではありません。問題は「隠すこと」です。
- 持病があれば、正直に伝える
- 「通院と服薬で安定しています」など、管理できていることを伝える
- 健康診断を定期的に受けていると言えると、かなり印象が良いです
2. 「素直に聞けるか」
ここが、40代・50代の方にとって一番の関門かもしれません。
正直に書きます。年下の先輩から教わることになります。入社したばかりなら、20代の社員が指導役になることも普通にあります。
そのときに「前の会社ではこうだった」「自分の方が年上なのに」という空気を出す方は、正直、採用しづらいです。
逆に、「教えてください」と言える方は、年齢に関係なく歓迎されます。これは本当です。
3. 前職の辞め方
「なぜ辞めたんですか」は必ず聞きます。
ここで前の会社の悪口が続くと、「うちでも同じことを言われるのでは」と感じてしまいます。事実は変えなくていいので、「これからどうしたいか」で締めてください。
詳しくはドライバー面接で落ちる人の特徴6つにまとめています。
40代・50代が選ぶべき仕事(重要)
ここが一番お伝えしたいところです。年齢より、「どの仕事を選ぶか」の方がはるかに重要です。
おすすめ:地場配送(毎日家に帰れる)
- 2トン〜4トンクラスが中心
- 決まったルートを回ることが多い
- 生活リズムが安定する
- 体への負担が比較的少ない
未経験の40代・50代には、まずここをおすすめします。
慎重に:長距離
- 収入は高くなる
- ただし車中泊、不規則な生活が続く
- 体力面での負担が大きい
収入だけで飛びつくと、体を壊して続かないケースを何度も見ています。まず地場で体を慣らしてからでも遅くありません。
注意が必要:手積み・手降ろしが多い仕事
フォークリフトを使わず、人力で荷物を積み降ろしする仕事があります。若い方でもきついです。
面接で必ず聞いてください:「荷物の積み降ろしは手作業ですか、フォークですか?」
いきなり大型を目指さなくていい
「大型の方が給料がいいから」と、最初から大型免許を取ろうとする方がいます。
もちろん間違いではありません。ただ、私の意見はこうです。
- 大型は車両感覚がまったく違い、未経験には負担が大きい
- 大型は長距離が多く、生活が激変する
- 小型・中型で経験を積んでからでも、大型には行ける
まずは今の免許で乗れる仕事から入り、働きながら免許を取る。これが一番リスクが低い進み方です。
会社が免許費用を負担してくれる「免許取得支援制度」がある会社もあります。詳しくは未経験からトラック運転手になる完全ガイドにまとめました。
それでも不安な方へ
最後に、正直な話をします。
この仕事は、楽ではありません。朝は早いし、待たされることもあるし、天候にも左右されます。
でも、年齢を理由に断られることは、ほとんどありません。私は40代・50代の未経験の方を何人も採用してきましたし、長く続けてくれています。
大事なのは、年齢ではなく——
- 時間を守れるか
- 素直に聞けるか
- 健康を管理できているか
- 長く働く気があるか
この4つです。ここが伝われば、必ず受かります。
40代・50代の未経験可の求人を探すには
ただし、会社選びだけは慎重にしてください。年齢を理由に足元を見てくる会社が、ないとは言えません。
- ドライバー専門の求人サイトを使う(「未経験可」「地場配送」で絞りやすい)
- エージェント型も併用する(年齢や体力面の不安を代わりに相談してくれます)
- 最低3社は比較する(1社だけだと相場が分かりません)
まとめ
40代・50代の転職で押さえること
- 業界の約4分の3が40代以上。年齢はハンデではない
- すぐ辞めない・社会人経験がある点は、むしろ強み
- 年下から教わる場面がある。素直さが一番大事
- 持病は隠さず、管理できていることを伝える
- まずは地場配送から。長距離・大型は焦らない
- 「積み降ろしは手作業かフォークか」を必ず聞く
40代・50代からの転職は、決して遅くありません。この業界では、むしろ「これから長く働いてくれる人」として見られます。
あなたの転職がうまくいくことを、同じ業界の人間として願っています。