長距離と地場配送、どちらを選ぶべきか【社長が本音で比較】
※記載内容は筆者個人の経験に基づく見解です。条件は企業・地域により異なります。
地方でトラック運送会社を経営しています。ドライバーを20名ほど雇っています。
「長距離と地場、どっちがいいですか」
これも、面接でよく聞かれる質問です。そして会社選びで一番後悔が出やすいポイントでもあります。
収入だけで決めて、生活が壊れて辞めていく方を、何人も見てきました。だから今日は、両方の本当のところを書きます。
まず、言葉の意味を整理します
地場配送(ちばはいそう)
- 同じ地域内を回る配送
- 基本的に毎日家に帰れる
- 2トン〜4トンクラスが中心
- スーパー、コンビニ、工場、建材など
中距離
- 県をまたぐ程度。日帰りか、1泊程度
- 4トン〜大型
長距離
- 数百キロ以上を走る。車中泊が基本
- 大型・トレーラーが中心
- 2〜3日、長ければ1週間家に帰らないことも
収入で比べると(正直な話)
はっきり言います。長距離の方が稼げます。
理由は単純で、運送業の給料は「走った距離」「運行回数」で決まる部分が大きいからです。長距離は1運行の単価が高く、走行距離も長い。だから手当が積み上がります。
地場配送は、毎日決まったルートを回るぶん、収入も安定しますが、大きくは伸びにくいです。
ただし、これには続きがあります。
【重要】収入差は「拘束時間の差」でもあります
ここが一番お伝えしたいところです。
長距離が稼げるのは、単に「長く拘束されているから」という側面があります。
- 地場:1日の拘束10〜12時間、毎日帰宅
- 長距離:1日の拘束が長く、車中泊を挟んで数日続く
時給に換算すると、差はぐっと縮まることがあります。「月8万円多い」としても、拘束時間が月80時間多ければ、時給は変わりません。
求人を見るときは、「月給」だけでなく「1日の拘束時間」もセットで見てください。
生活はどう変わるか
地場配送の生活
- 朝は早い(4〜6時出勤も普通)
- でも夕方〜夜には帰れる
- 家族と晩ごはんを食べられる日が多い
- 生活リズムが一定なので、体調管理しやすい
長距離の生活
- 数日単位で家に帰らない
- 食事はコンビニ・パーキングが中心になりがち
- 睡眠は車中泊。寝具・気温の面で負担がある
- 家族行事に出られないことがある
正直に書きますが、長距離で体を壊す方は珍しくありません。睡眠の質、食生活、運動不足。40代以降は特に効いてきます。
逆に、「一人の時間が好き」「人間関係が煩わしい」という方には、長距離は天職になることもあります。実際、長距離が好きで20年続けている方もいます。
採用する側から見た「向いている人」
地場配送が向いている人
- 家族との時間を大事にしたい
- 生活リズムを崩したくない
- 未経験から始める
- 40代・50代からの転職
- 体力に不安がある
長距離が向いている人
- とにかく収入を上げたい
- 一人の時間が苦にならない
- 体力に自信がある
- 家庭の事情で数日空けても問題ない
- 運転そのものが好き
私が未経験の方に勧めるのは、まず地場配送です。
理由は、「自分に運送業が合っているか」を、生活を壊さずに確かめられるからです。地場で1〜2年やってから長距離に移ることは普通にできます。逆は、体を壊してからでは遅い。
長距離から地場に移ってきた人が、言ったこと
うちは地場配送の会社です。だから、長距離をやっていた方が移ってくることがあります。
その方に「地場はどうですか」と聞いたとき、返ってきた言葉が忘れられません。
「その日でやりきりで終わるので、普通に生活できる」
"普通に生活できる"——この一言に、全部が詰まっていると思いました。
朝起きて、仕事に行って、夜は家で寝る。土日に予定が入れられる。家族と同じ食卓につける。当たり前のようでいて、長距離だとそれが難しいんです。
収入は下がったはずです。それでも、その方は今も続けてくれています。
お金と生活、どちらを取るか。正解はありませんが、この言葉は覚えておいてほしいと思っています。
見落とされがちな「第3の選択肢」
実は、長距離か地場かの2択ではありません。
ルート配送
決まった取引先を毎日同じ順番で回る仕事。ルートを覚えれば負担が減り、担当者とも顔なじみになります。安定志向の方に人気です。
中距離
日帰りできる範囲で、地場より単価が高い。収入と生活のバランスが取りやすいので、意外とおすすめです。
専属便
特定の荷主専属で動く仕事。仕事量が読みやすい反面、その荷主に依存するリスクもあります。
面接で必ず聞くべきこと
働き方について確認すること
- 1日の平均拘束時間はどれくらいですか?
- 週に何日、家に帰れますか?(長距離の場合)
- 積み降ろしは手作業ですか、フォークですか?
- 待機時間は給料に入りますか?
- ルートは固定ですか、日によって変わりますか?
特に「積み降ろしが手作業かどうか」は、長距離・地場どちらでも体への負担を大きく左右します。必ず聞いてください。
正直に書きます。うちは基本、手作業です
「手作業かフォークか聞け」と書いておいて、自分のところを隠すのはフェアではないので、正直に書きます。
うちは基本的に手作業です。フォークリフトを使う場面もありますし、カゴ台車での作業もありますが、人力で積み降ろしする仕事が中心です。
これを聞いて「じゃあきついのか」と思われるかもしれません。実際、ラクではありません。
でも、ここでお伝えしたいのは「手作業=悪い会社」ではないということです。大事なのは——
- どれくらいの重さのものを、1日に何回扱うのか
- その分の手当がついているか
- 一人でやるのか、複数人でやるのか
ここまで具体的に聞いて、納得できるなら問題ありません。
逆に、「手作業はほとんどありません」と曖昧に濁す会社の方が、入ってから話が違うとなりやすいです。正直に「手作業です」と言う会社の方が、私は信用できると思っています。
結論:収入だけで決めないでください
私が言いたいのは、これだけです。
求人票の金額だけを見て長距離を選び、半年で体を壊して辞める——このパターンを何度も見てきました。会社にとっても、本人にとっても不幸です。
大事なのは、「その働き方を、5年10年続けられるか」です。
- 家族はどう思うか
- 自分の体力は何年もつか
- その収入は、何を犠牲にして得ているのか
ここを考えてから決めれば、まず後悔しません。
働き方で求人を絞るには
「地場配送だけ見たい」「日帰りだけがいい」——こういう絞り込みは、一般の求人サイトだと難しいことが多いです。
- ドライバー専門の求人サイトを使う(地場・長距離・ルート配送で絞れます)
- 複数のサイトに登録しておく(サイトごとに掲載企業が違うため、地場・日帰りの求人を比べやすくなります)
- 最低3社は比較する(同じ「地場」でも中身が全然違います)
地場配送・日帰りの求人を探す
トラックマンジョブで求人を探すまとめ
選ぶときの判断基準
- 長距離は稼げる。ただし拘束時間も長い
- 時給に換算すると、差は縮まることがある
- 未経験・40代以降は、まず地場配送から
- 中距離・ルート配送という選択肢もある
- 「5年10年続けられるか」で判断する
- 積み降ろしが手作業かは必ず確認
どちらが正解ということはありません。あなたの生活に合う方が正解です。
焦らず選んでください。同じ業界の人間として、応援しています。