長距離ドライバーはやめとけ、は本当か|20人を雇う運送会社が、あえて長距離をやらない理由
※記載内容は筆者個人の経験と、周囲から聞いた話に基づく見解です。会社・地域・荷物によって条件は大きく異なります。
地方でトラック運送会社を経営しています。ドライバーを20名ほど雇っています。
「長距離ドライバー やめとけ」と検索して、ここに来られたのだと思います。
先に、この記事で一番大事なことを書きます。
結論:私は、長距離を勧めません
うちの会社は、長距離をやっていません
まず立場をはっきりさせておきます。
うちの会社に、長距離をやっているドライバーは一人もいません。全員が地場です。
そして私自身、人に長距離を勧めることはありません。
ただし、これで話を終わらせるつもりはありません。
私の周りには「長距離は面白いよ」と言っている人もいるからです。その話も、この記事に書きます。
先に、この記事の限界を書いておきます
「やめとけ」と言い切る記事は、たいてい辞めた人が書いています。
私は逆で、雇う側です。だから見えるものと、見えないものがあります。そこを最初にはっきりさせます。
| 書けること | 書けないこと |
|---|---|
| 長距離を辞めて、うちに来た人から直接聞いた話 | 長距離を自分でやった体験 |
| なぜ うちが長距離をやらないのか | 特定の会社の長距離がどうか |
| 採用する側から見た、向く人・向かない人 | いくら稼げるかの正確な数字 |
長距離の中身については、私が実際にやったわけではありません。辞めてきた人と、続けている知人から聞いた話です。そこは正直に書いておきます。
長距離を辞めて、うちに来た人がいます
今うちで働いている中に、長距離をやっていて辞めた人がいます。
言っていた悩みは、2つでした
その人が挙げていた悩みは、はっきりしていました。
- 毎回、行くところが違う
- 家に帰れない
お金のことは、あまり言っていませんでした。
この2つは、地味に見えて、実はかなり重い話だと思っています。
「毎回、行くところが違う」の重さ
地場なら、行き先はだいたい決まっています。道も覚えます。荷主さんの担当者の顔も分かります。何時に着けばいいかも、体で分かるようになります。
長距離は、そこが毎回リセットされます。
毎回リセットされると、こうなります
- 道が分からないので、常に気を張る
- 着いてから、荷降ろしの段取りが分からない
- 何時間かかるか読めないので、予定が立たない
- 慣れによる余裕が、いつまでも出ない
同じ仕事量でも、疲れ方が違います。この差は、続けるほど効いてきます。
「家に帰れない」の重さ
これは説明が要らないと思います。
ただ、一つだけ付け加えます。これは本人だけの問題ではありません。家族がいる方は、家族の生活も一緒に変わります。
子どもの行事、家族の予定、急な用事。長距離だと、そこに合わせるのが難しくなります。
ここまで読んで、「実際の求人はどうなっているんだろう」と思われたら——
先に求人を1つ2つ見ておくと、この続きが具体的に読めます。
「やめとけ」と言われる、3つの理由
世間で言われていることと、私が見てきたことを合わせると、こうなります。
長距離が「やめとけ」と言われる理由
- 夜中に走ることが、かなり多い
- 家に帰ることがままならない
- 家庭がある人には、生活が合わせにくい
1つ目の夜中の運行について、少し補足します。
荷物を朝いちばんに届けるためには、夜のうちに走ることになります。これは長距離の仕組みそのものなので、会社が良心的かどうかとは別の話です。
昼夜が逆になる生活が、体に合うかどうか。ここは正直、人によってはっきり分かれます。合わない人が無理をすると、体を壊します。
眠くなったときにどうするかは、会社の姿勢が出るところでもあります(事故と会社の対応)。
それでも続けている人がいます。理由は給料です
ここは、はっきり書きます。
長く続いている人は、給料で続いているのだと思います
長距離を長く続けている人がいるとしたら、その理由は給料だと思っています。
拘束される時間が長いぶん、金額は上がります。そうでなければ、続く理由がありません。
ここは大事なところなので、はっきり言っておきます。長距離の給料が高いのは、能力が高いからではありません。時間を多く使っているからです。
この「収入と拘束時間の関係」については、長距離と地場を比べた記事に詳しく書きました。時給に直すと、話が変わることがあります。
ただし、「面白い」と言う人もいます
ここを書かないと、この記事は公平ではなくなります。
「いろんなところに行けて、その土地を楽しめるのが面白い」
私の周りで、長距離をやっている人がこう言っていました。
いろんなところに行ける。行った先の土地を楽しめる。それが面白いのだ、と。
この感覚は、否定できません。
さっき「毎回行くところが違うのがきつい」と書きました。同じことを、面白いと感じる人がいます。
つまり、同じ条件が、人によって長所にも短所にもなるということです。
| 長距離の特徴 | きついと感じる人 | 面白いと感じる人 |
|---|---|---|
| 毎回 行き先が違う | 気が休まらない | いろんな土地に行ける |
| 家に帰れない | 家族に会えない | 一人の時間が長い |
| 拘束時間が長い | 生活が仕事で埋まる | その分 稼げる |
だから「やめとけ」が正しいかどうかは、その人によります。これが、私の正直な答えです。
向く人・向かない人
採用する側から見て、こう分かれると思っています。
長距離が向いていそうな人
- 一人の時間が苦にならない
- 知らない場所に行くのが、むしろ楽しい
- 家庭の事情で、家にいる必要が特にない
- 今は生活より、稼ぐことを優先したい時期にいる
- 夜型の生活が、体に合っている
やめておいた方がいいと思う人
- 小さい子どもがいる
- 家族の予定に合わせる必要がある
- 持病があったり、睡眠が乱れると体調を崩しやすい
- 生活のリズムを大事にしたい
- 未経験で、いきなり長距離から入ろうとしている
最後の1つだけ、理由を書きます。
未経験でいきなり長距離に入ると、運転にも慣れていない状態で、道も分からない場所を、夜中に走ることになります。これは、負荷が重なりすぎます。
入るなら、まず慣れる場所から入った方がいいと思っています(未経験から始める場合)。
うちが長距離をやらない理由
会社としての話も書いておきます。
うちの規模と、やり方には合わないと感じています
はっきり言葉にできるほど整理できているわけではありません。
ただ、うちの会社の規模と回し方では、長距離は合わないと感じています。
だから、地場でやっています。
ここは、応募する側にも意味のある話だと思います。
会社には「やること」と「やらないこと」があります。長距離をやる会社は、それができる体制を持っています。逆に、うちのように「やらない」と決めている会社もあります。
求人を見るとき、その会社が長距離をどういう位置づけにしているかを見てください。専門でやっているのか、たまたま受けているだけなのか。ここで働き方がまるで違います。
迷っているなら、地場という選択肢があります
「長距離はやめとけ」と聞いて不安になった方に、一つだけ伝えたいことがあります。
運送業に入るかどうかと、長距離をやるかどうかは、別の話です。
長距離を避けても、選択肢はあります
- 地場配送(毎日 家に帰れます。うちもこれです)
- ルート配送(行き先が決まっています)
- 近距離の中型・大型
詳しくは長距離と地場の比較に書きましたが、収入だけで比べると判断を間違えます。拘束時間まで含めて見てください。
求人でここを確認してください
求人票では、長距離かどうかが分かりにくいことがあります。書き方でぼかされることがあるからです(求人票のどこがぼかされるか)。
面接で、この4つを聞いてください
- 「泊まりは、月に何回くらいありますか?」
- 「行き先は決まっていますか、それとも毎回変わりますか?」
- 「夜間の運行は、どれくらいの割合ですか?」
- 「その給料は、泊まりが何回ある前提の金額ですか?」
4つ目が一番大事です。求人票の給料は、たいてい一番よく働いた場合の金額です。泊まりが減れば、そのぶん下がります。
聞き方に困ったら、面接で聞くべきことにまとめてあります。
まずは相場を知るところから
トラックマンジョブで求人を探すまとめ
この記事に書いたこと
- 私は長距離を勧めません。うちの会社も長距離をやっていません
- ただし私は長距離を経験していません。辞めてきた人と、続けている知人から聞いた話です
- 辞めた人が言っていたのは「毎回 行き先が違う」「家に帰れない」の2つ
- やめとけと言われる理由は、夜中の運行・家に帰れない・家庭と合わない
- それでも続く人がいるのは、給料が上がるから。ただし理由は拘束時間の長さです
- 一方で「いろんな土地に行けて面白い」と言う人もいます
- 同じ条件が、人によって長所にも短所にもなります
- 未経験でいきなり長距離は、負荷が重なりすぎるので勧めません
- 運送業に入ることと、長距離をやることは別の話です。地場という選択肢があります
「やめとけ」と言う人も、「面白い」と言う人も、どちらも本当のことを言っています。
違うのは、その人が何を大事にしているかです。
だから最後は、こう考えてください。自分は、家にいる時間と収入と、どちらを優先したいのか。それが決まれば、答えは自然に出ます。