運送会社の求人票、ここをぼかしています|書いている社長が「ぼかす理由」を白状します
※記載内容は筆者個人の経験に基づく見解です。制度や条件は会社によって異なります。
地方でトラック運送会社を経営しています。ドライバーを20名ほど雇っています。
この記事は、他の転職サイトとは立場が違います。
私は、求人票を「読む側」ではなく「書く側」の人間です。
自分の会社の求人を出すとき、実際に文章を考えているのは私です。だから、どこを丁寧に書いて、どこをふんわりさせているか——それを自分で分かっています。
今日は、そこを白状します。
この記事で分かること
- 求人票で会社がぼかしがちな2つの項目と、その理由
- 「月収40万円可能」という数字が、実際どうやって出ているのか
- 面接で会社側があなたの何を見ているか(求人票には絶対に書けないこと)
- 結局、求人票のどこを見れば失敗しないのか
白状します。うちも「残業」と「休日」はぼかすことがあります
いきなり自分の会社の話から始めます。
正直に言うと、はっきり書けない項目があります
求人票を書くとき、残業時間と休日については、ぼかして書くことがあります。
意地悪でやっているわけではありません。正確な数字が1つに決まらないからです。
ドライバーの仕事は、日によって、コースによって、季節によって、終わる時間が違います。荷物の量も、荷主の都合も、渋滞も、こちらでは決められません。
「残業月20時間」と書いて、実際に35時間になった月があったら、それはそれで嘘になります。だから幅を持たせた書き方になる——これが、書いている側の事情です。
ここで大事なことを言います。
ぼかしている=悪い会社、ではありません。でも同時に、ぼかしている=あなたはその項目をまだ何も知らない、ということです。
だから求人票は、こう読んでください。
求人票の読み方の原則
- 書いてあることより、書いていないことに注目する
- ぼかしてある項目=面接で必ず聞くべき項目だと考える
- 逆に、細かく書いてある項目は、その会社が自信を持っている部分
ふんわりした求人票を見て「ダメだ」と切り捨てる必要はありません。そこは「面接で聞くリスト」に移すだけです。
「月収40万円可能」の正体
ここが、多くの方が一番知りたいところだと思います。
求人票に書いてある高めの数字。あれは嘘なのか。
嘘ではありません。ただし「余分な仕事をした場合」の数字です
ああいう数字は、実際に届いている人がいるから書けます。完全な作り話ではないことが多いです。
ただし、中身はこうです。
決まったコース+α(アルファ)。
つまり、本来の担当コースをこなした上に、余分な仕事を追加でやった場合の金額だということです。
誰かが休んだ日の代走、急な追加便、遠方への応援、休日出勤。そういうものを積み重ねた人が、その数字に届きます。
ここからが、一番大事なところです。
それは毎月ではありません。繁忙期だけです。
+αの仕事は、いつでもあるわけではないからです。会社に余分な仕事が出るのは、基本的に忙しい時期に限られます。
そしてもう一つ。労働時間の上限があります。いくら稼ぎたくても、際限なく働けるわけではありません。
ですから正確に言うと、こうです。
「うまくやれば、その金額に届く月もある方がいる」——これが実態です。
ここが、求人票の一番のカラクリだと思います。
数字そのものは本当。でも、その数字とセットになっている「拘束時間」と「時期」は、求人票には書いてありません。
月40万円の人と、月28万円の人。同じ会社の中で、働いている時間がまるで違うということが普通に起きています。
だから、こう理解してください
- 「月収40万可能」=一番良かった月の、一番稼いだ人の数字
- それは繁忙期に、+αの仕事を積み重ねた結果
- 毎月その金額になるわけではありません
- だから見るべきは月収の最大値ではなく——年収です
月収は「最大値」で書けます。でも年収は、ごまかしが効きません。ここが一番の見分け方だと思います。
だから、面接ではこう聞いてください
「月収40万可能」を見たときの質問
- 「年収で言うと、どれくらいになりますか?」(一番大事な質問です)
- 「この40万円という金額の方は、実際に何時間くらい働いていますか?」
- 「決まったコースだけをこなした場合、いくらくらいになりますか?」
- 「忙しくない時期は、だいたいいくらくらいですか?」
- 「その+αの仕事は、断ることができますか?」
3つ目が特に大事です。断れる会社と、断れない会社があります。そしてそれは、求人票からは絶対に分かりません。
給料そのものの中身(基本給・歩合・手当・固定残業代の関係)については、トラック運転手の給料のカラクリで詳しく書きました。あわせて読んでいただくと、数字の見え方が変わると思います。
【ここが本題】会社側は、あなたの「休み方」を見ています
ここから先は、他のサイトではまず読めない話だと思います。
採用する側が、面接で何を確認しているか——という話です。
求人票に書いていないけれど、休みのことはこちらから確認します
求人票には書きませんが、面接では「休みについて」こちらからよく確認します。
どういう休み方をする人なのか。急に休むことが多い方なのか。そこは正直、気にしています。
理由は、はっきりしています。
ドライバーは、1人抜けたら、そこに1人入れないといけない仕事だからです。
事務の仕事なら、1人休んでも今日の分を明日に回せます。でも配送はそれができません。トラックは今日出さないといけないし、荷物は今日届けないといけない。
だから誰かが休むと、他の誰かがその分を走ることになります。よく休まれる方がいると、そのやりくりが本当に大変になる——これが現場の事実です。
この話を、脅しとして書いているのではありません。
むしろ逆です。ここには、あなたが会社を選ぶための、非常に重要なヒントが入っています。
「休みが取りにくい会社」は、意地悪な会社ではなく“人が足りない会社”です
もう一度、さっきの構造を見てください。
なぜ休みにくい会社が生まれるのか
- ドライバーが1人休む → 誰かが代わりに走らないといけない
- 人に余裕がない会社 → 代われる人がいない
- だから休みの希望を言い出しにくい空気になる
- 結果、休日も有給も、求人票にはっきり書けなくなる
つまり、こういうことです。
休日の欄がふんわりしている会社は、人が足りていない可能性があります。
そして逆に、「完全週休2日制」「年間休日◯日」とはっきり書けている会社は、その休みを回せるだけの人数がいるということです。
会社選びの基準として、これは相当使えると思います。書けるか書けないかは、体力の差だからです。
ちなみに、うちの年間休日は約96日です。業界平均より少ない数字です。隠しても仕方がないので、トラック運転手に休みはあるのかで全部公開しています。
面接で「休みは取れますか」と聞いていいのか
結論から言います。
聞いていいです。少なくとも私は、聞かれて嫌だと思ったことはありません。
ただ、印象が変わる聞き方はあります。
同じことを聞くなら、こちらの言い方で
- △「休みはちゃんと取れますか?」
- ◎「年間休日は何日で、実際に取れているのはどれくらいですか?」
- △「有給は使えますか?」
- ◎「皆さん、有給はどれくらい消化されていますか?」
- ◎「誰かが休むときは、どうやって回されているんですか?」
最後の質問が、実は一番効きます。
「どうやって回しているか」に、その会社の余裕がそのまま出るからです。
「代わりに走れる人間が何人かいるので大丈夫です」と即答できる会社と、言葉に詰まる会社。ここで会社の実力がはっきり分かります。
なお、年5日の有給取得は、会社の法的な義務です。「うちに有給はない」と言う会社は、その時点で法律を守っていません。これは知っておいてください。
結局、求人票のどこを見ればいいのか
ご質問の答えとして、私が一番大事だと思う見方を書きます。
この3つが「しっかり書いてある会社」を選んでください
- ① 休み 年間休日が日数で書いてある。「完全週休2日制」かどうかが明記されている
- ② 拘束時間 始業・終業の時間、残業の目安が数字で書いてある
- ③ 給料体系 基本給・手当・歩合の内訳が分かれて書いてある。固定残業代なら「何時間分でいくら」が書いてある
この3つは、会社の実態がそのまま出る場所です。
そして——ここが一番言いたいところですが——
「書いてある内容が良いかどうか」より、「書けているかどうか」を見てください。
たとえば「年間休日100日」と正直に書いてある会社と、休日欄がふんわりしている会社なら、私は前者を勧めます。数字が多くなくても、はっきり書ける会社は、その数字を守る気がある会社だからです。
ふんわりした求人票の「たぶん大丈夫だろう」は、入ってから一番裏切られます。
「週休2日制」と「完全週休2日制」は別物です
ここだけは、絶対に間違えないでください。
1文字違いで、年間30日以上変わります
- 完全週休2日制=毎週必ず2日休み
- 週休2日制=月に1回でも2日休みの週があればOK(他の週は1日休みでも名乗れます)
「完全」の2文字があるかどうか。求人票で最初に確認すべきは、ここかもしれません。
まとめ
この記事の要点
- 求人票では残業時間と休日がぼかされやすい(うちもそうです)。理由は、正確な数字が1つに決まらないから
- ぼかしてある項目=面接で必ず聞くべき項目
- 「月収40万可能」は嘘ではないが、決まったコース+αをやった場合の金額。+αの拘束時間は書いていない
- しかも、それは繁忙期だけ。毎月その金額にはなりません(労働時間の上限もあります)
- だから月収の最大値ではなく「年収」で聞く。年収はごまかしが効きません
- 質問すべきは「その+αは断れますか」
- 会社側は面接であなたの休み方も見ている。ドライバーは1人抜けたら1人入れないといけないから
- だから休みが取りにくい会社=人が足りない会社。休日をはっきり書ける会社を選ぶ
- 見るべきは休み・拘束時間・給料体系の3つ。内容の良し悪しより「はっきり書けているか」
- 「完全週休2日制」と「週休2日制」は年30日以上違う
求人票は、会社が自分のことを書いた文章です。書き方そのものに、会社の性格が出ます。
正直に数字を出している会社は、入ってからも正直です。逆に、良いことしか書いていない求人票は、書いていない部分に何かがあると思ってください。
より分かりやすい危険信号については、ブラック運送会社の見分け方7つにチェックリストとしてまとめてあります。
求人票を見比べてみてください
この記事の見方は、1社だけ見ていても使えません。比べて初めて「この会社は書けているな」と分かるからです。
- ドライバー専門の求人サイトを使う(休日・拘束時間・給料の内訳まで細かく載っています)
- 複数のサイトに登録しておく(掲載されている会社が違うので、書き方の差が見えます)
- 気になった会社の求人票を、休み・拘束時間・給料体系の3点で並べてみる
まずは3社、求人票を並べて比べてみる
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