トラック運転手の給料のカラクリ|求人票の「月給35万円」の中身を経営者が解説

業界20年/運行管理者/運送会社 経営者(ドライバー20名を雇用) 運営者について
月給35万円の中身を解説 基本給・歩合・手当のカラクリ。人物・場所・車両はイメージです。
※画像はAI生成イメージです。
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※金額はあくまで一般的な目安です。実際の条件は企業・地域・車格により大きく異なります。

地方でトラック運送会社を経営しています。ドライバーを20名ほど雇っています。

今日は、給料を出している側から見た「運送業の給料の仕組み」を書きます。

求人票の金額だけを見て入社して、「思っていたのと違う」となる方が本当に多いです。それは会社が全部悪いわけではなく、給料の構造が分かりにくいからでもあります。

その構造を、包み隠さず説明します。

運送業の給料は「3層構造」です

まず、これだけ覚えてください。運送業の給料は、おおむねこう分かれています。

求人票の月給には、基本給に加えて歩合・手当・固定残業代が含まれる場合があります。総額だけでなく、何が含まれているかを確認してください。「35万円〜」という表記だけで、最大額とは判断できません。

実際の内訳の例(イメージ)

「月給35万円」の中身を分解すると
内訳金額どういうお金か
基本給18万円給与の基礎となる部分。欠勤時の扱いも確認
歩合・運行手当10万円走った距離・運んだ量で変わる。減る月もある
残業代7万円働いた時間しだい。忙しくなければ出ない
合計35万円これが求人票に載る数字

この場合、「たくさん走って、たくさん残業して、やっと35万円」ということです。

そして、走れない月・忙しくない月は、18万円に近づきます。だから基本給を見てください。

なぜ基本給が低いのか(会社側の事情)

「基本給を上げてくれればいいのに」と思いますよね。正直に理由を書きます。

運送業の売上は、荷物の量に完全に左右されます。景気が悪くなれば荷物は減ります。荷主が契約を切れば、その分の売上はゼロになります。

基本給を高くすると、荷物が減った月でも同じ額を払い続けなければならず、会社が持ちません。だから歩合の割合を大きくして、変動に耐えられるようにしています。

これは業界の構造上の問題で、多くの会社が同じです。

そして、理由はもうひとつあります。基本給が上がると、残業代と休日出勤の単価も上がる——だから会社は基本給を抑えたい。この話は求人票41件を調べた記事で詳しく白状しました。基本給の記載は、Aサイトが26件中3件、Bサイトが15件中9件でした。

だからこそ「基本給がいくらか」を確認してください。ただし、欠勤や休職の際にそのまま支払われるとは限りません。休んだときの給与の扱いも確認が必要です。

手当の中身(よくあるもの)

無事故手当

月1〜2万円程度。事故を起こすとゼロになります。会社としては、事故が一番の損失なので、ここにお金をかけます。

皆勤手当

月1万円程度。休むと消えます。体調管理ができる方には実質的な固定給になります。

運行手当・距離手当

1運行いくら、1kmいくら、という形。長距離ほど大きくなります。ここが収入差の一番大きな要因です。

積み降ろし手当

手作業で荷物を扱う場合につくことがあります。逆に言えば、この手当がある求人は「手積み・手降ろしがある」ということです。体力面で重要な情報になります。

「固定残業代」の落とし穴

ここは特に注意して見てください。

求人票に「月給30万円(固定残業代◯時間分を含む)」と書かれていることがあります。

これは「あらかじめ◯時間分の残業代を給料に含めています」という意味です。

確認すべきこと

「45時間分の固定残業代込み」でも、45時間働くことが支給の条件ではありません。実際の残業が45時間に満たない月も、固定残業代は全額支払われます(山梨労働局の説明)。

そして、超えた分を払わない会社は違法です。面接で必ず確認してください。

現場から

この質問、遠慮しなくて大丈夫です

「固定残業代のことを聞いたら、細かい人だと思われないか」と心配される方がいます。

結論から言うと、まったく問題ありません。

うちでは面接のときに、固定残業代の内容をこちらから説明しています。そして実際に、応募者の方から聞かれることもあります。

聞かれて嫌だと思ったことは一度もありません。むしろ「ちゃんと理解しようとしている人だな」と感じます。

逆に、この質問に対して曖昧に答える会社、話をそらす会社は、正直 何かあると思ってください。

ここまで読んで、「実際の求人はどうなっているんだろう」と思われたら——
先に求人を1つ2つ見ておくと、この続きが具体的に読めます。

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手取りはいくらになるのか

これもよく聞かれます。ざっくりですが、額面の75〜80%程度が手取りの目安です。

手取りは、額面から所得税・住民税・社会保険料などを差し引いた金額です。扶養家族の人数などで変わるため、上の金額はあくまで目安です。

面接では「額面」で話が進みます。生活設計をするときは、この差を頭に入れておいてください。

現場から

うちの1年目は、月25万円くらいです

「人には聞けと言うのに、自分は言わないのか」と思われたくないので、正直に書きます。

うちに入って1年目の方で、月25万円ほどです。地場配送(毎日家に帰れる仕事)での金額です。

これを高いと見るか安いと見るかは、地域や生活によって違うと思います。ただ、「月給35万円〜」という求人票の数字とは、だいぶ違うということは知っておいてください。

長距離に乗ればもっと上がります。大型なら、さらに上がります。でも、その分は必ず何かと引き換えです(詳しくは長距離と地場、どちらを選ぶべきかに書きました)。

面接で「1年目で実際いくらですか」と聞かれたら、私はこう答えます。答えられない会社の方が、むしろおかしいと思ってください。

給料が上がる3つの条件

採用する側として、給料が上がる人の条件ははっきりしています。

1. 車格を上げる

2トン→4トン→大型→トレーラー。これが一番はっきり効きます。大型・牽引まで行くと、収入は大きく変わります。

2. 長距離に乗る

収入は上がります。ただし生活は激変します。詳しくは長距離と地場、どちらを選ぶべきかにまとめました。

3. 無事故を続ける

地味ですが、これが一番大きいです。事故を起こすと、無事故手当が消えるだけでなく、会社からの信頼が下がり、いい仕事が回ってこなくなります。

逆に、無事故で長く働いている方には、条件のいい仕事を優先的に回します。これは正直な話です。

現場から

実際に、うちで給料が上がった人の共通点

免許や車格の話は他でも読めると思うので、もっと地味だけど確実な話を書きます。

うちで給料が上がった方に共通しているのは、この2つです。

  • 会社への貢献度(急な穴を埋めてくれる、後輩を見てくれる、など)
  • 無事故を続けている

そしてもう一つ、はっきり言えることがあります。

「決まったコース以外の仕事もやってくれる人」は、当然ですが上がります。

誰かが休んだ日、急な依頼が入った日に「行けますよ」と言ってくれる人。会社としては、本当に助かります。そういう方に報いないと、会社としても示しがつきません。

逆に言えば、「決まったことだけやりたい」という働き方でも構いません。それはそれで真面目な働き方です。ただ、その場合は給料が大きく上がることは期待しない方がいい、というだけの話です。

どちらを選ぶかは、その人の生活次第だと思います。

面接で必ず聞くべき5つ

給料について確認すること

  • 基本給はいくらですか?
  • 歩合や手当は、どういう計算ですか?
  • 固定残業代は含まれていますか?何時間分ですか?
  • 超過分は別途支払われますか?
  • 入社1年目の方は、実際いくらくらいもらっていますか?

最後の質問が特に効きます。「実際のところ、1年目でいくらですか」——これに正直に答えてくれる会社は、信用できます。

私も聞かれたら答えます。隠す理由がないからです。

条件を比べないと、相場は分かりません

ここまで読んで「結局いくらもらえるの?」と思われたかもしれません。

正直に言うと、会社・地域・車格・荷主によって、驚くほど違います。同じ地域、同じ4トン車でも、月に5万円以上差があることは珍しくありません。

だからこそ、最低3社は比べてください。1社だけ見て決めると、それが高いのか安いのかも分かりません。

まずは条件を比べるところから

トラックマンジョブで求人を探す ココカラ・ドライバーで探す ドラEVERで探す ※3社とも登録・利用は無料です。記事でも書いたとおり、最低3社は条件を比べてから決めることをおすすめします。

なお、求人票そのものの読み方、つまり会社がどこをぼかしているのか、「月収40万可能」の数字がどう作られているのかは、求人票を書いている側の話にまとめました。

月給の総額だけでなく、内訳で比べる

給料で見るべきポイント

  • 月給には歩合・手当・固定残業代が含まれる場合がある。内訳を確認する
  • 本当に見るべきは「基本給」
  • 固定残業代は「何時間分か」を必ず確認
  • 手取りは額面の75〜80%程度
  • 収入を上げるなら、車格・長距離・無事故
  • 最低3社は比較する

お金の話は、聞きにくいものです。でも、生活がかかっているのだから、聞いて当然です。

きちんと説明してくれる会社を選んでください。それだけで、入社後の後悔はぐっと減ります。

※本記事は筆者の経営者としての経験に基づく個人的見解です。金額はあくまで一般的な目安であり、企業・地域・車格・荷主により大きく異なります。実際の労働条件は必ず各企業にご確認ください。賃金・残業代に関する法的な問題については、労働基準監督署や社会保険労務士等の専門家にご相談ください。