トラック求人41件を調べました|基本給が書いてあるのは、サイトによって12%と60%でした
※記載内容は筆者個人の経験に基づく見解です。会社により事情は異なります。会社名は一切掲載していません。
地方でトラック運送会社を経営しています。ドライバーを20名ほど雇っています。
このサイトで「求人票はぼかして書いてある」と何度も書いてきました。
でも、こう思われた方もいると思います。
「それって、本当にそうなの?」
だから、実際の求人票を数えました。2つの求人サイトから、合計41件です。
そうしたら、自分でも予想していなかった結果が出ました。
まず、結果です
| 項目 | Aサイト 26件 | Bサイト 15件 | 合計 41件 |
|---|---|---|---|
| 基本給の金額 | 3件(12%) | 9件(60%) | 12件(29%) |
| 固定残業代 | 3件(12%) | 5件(33%) | 8件(20%) |
| 年間休日の日数 | 4件(15%) | 7件(47%) | 11件(27%) |
| 休みの書き方 | 21件(81%) | 14件(93%) | 35件(85%) |
| 積み降ろしの方法 | 18件(69%) | 12件(80%) | 30件(73%) |
| 車格(2t・4t・大型) | 24件(92%) | 14件(93%) | 38件(93%) |
※2026年8月31日調査。トラック運転手の求人サイト2つから抽出。貴重品運搬警備・軽貨物・倉庫内作業・整備・引越し・運行管理者は除いています。同じ会社の重複求人は1件に数えました。会社名・サイト名は記載していません。
サイトが違うだけで、5倍違いました
まず、ここを見てください。
基本給が書いてある割合が、12%と60%
同じ「トラック運転手の求人」です。同じ時期に調べました。
それなのに——
- Aサイト:基本給が書いてあるのは 12%
- Bサイト:基本給が書いてあるのは 60%
5倍の差です。年間休日の日数も、15%と47%で3倍違いました。
逆に、ほとんど差がない項目もありました
2つのサイトで、ほぼ同じだったもの
- 車格——92%と93%
- 休みの書き方——81%と93%
- 積み降ろし——69%と80%
仕事の中身は、どちらのサイトでも書いてある。
お金の中身だけが、サイトによって大きく変わる。
これが、41件を数えて一番はっきりしたことでした。
ただし、この数字の限界も書いておきます
- 件数が26件と15件と少ないこと
- 抽出のしかたが違うため、Bサイトの方は大型トラックの求人が多めになっていること
- 「サイトの違い」なのか「集まっている会社の違い」なのか、この数字だけでは断定できません
それでも、この差は無視できないと思いました。だから、求人票を出している側として、なぜこうなるのかを考えてみます。
車格が92%というのは、当然といえば当然です。2tと大型では、まったく別の仕事になりますから。ここは書かないと応募のしようがありません(最初に選ぶ車格)。
ここまで読んで、「実際の求人はどうなっているんだろう」と思われたら——
先に求人を1つ2つ見ておくと、この続きが具体的に読めます。
なぜ、基本給を書かないのか
正直に白状します。
基本給は、少なく抑えたいんです
会社側から見ると、基本給は少なく抑えたいのが本音です。
理由ははっきりしています。
基本給が上がると、残業代と休日出勤の単価が上がるからです。
でも、ここで問題が起きます。
基本給を低くすると、求人票の見た目が悪くなる。
だから「総支給額」だけを書いてしまうのかもしれません。
これが、求人票のカラクリの正体です
順番に並べると、こうなります。
会社側の事情
- 残業代は、基本の時給をもとに割増して計算される
- だから基本給が高いほど、残業代も高くなる
- 会社としては、基本給は抑えたい
- でも「基本給18万円」と書くと、安く見える
- だから「月給35万円」と、総額だけ書く
実際に、こういう求人がありました
41件の中に、基本給まで書いてあった求人があります。中身を見てください。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月給の表示 | 370,000円〜500,000円 |
| うち 基本給 | 135,000円〜140,000円 |
| うち 固定残業代 | 120,000円〜220,000円 |
月給37万円のうち、基本給は13万5千円です。
これが、さっき私が白状した仕組みそのものです。基本給を抑えれば、残業代の単価が抑えられます。
そして、この求人は、きちんと書いてあるから中身が分かるんです。書いていない求人は、同じ構造でも分かりません。
※この求人が違法という意味ではありません。金額を明示している点では、むしろ丁寧な求人票です。
だましているつもりはない、というのが正直なところです。嘘は書いていませんから。「月給35万円」は、本当に35万円もらえる月があるのですから。
でも、応募する側から見れば、中身が分からないのは同じです。
だから、これだけは聞いてください
面接で必ず聞く3つ
- 「基本給はいくらですか?」
- 「固定残業代は何時間分で、いくらですか?」
- 「その時間を超えた分は、別に支払われますか?」
この3つに、はっきり答えられる会社は信用できます。答えを濁す会社は、それが答えです。
ひとつ、知っておいてほしい法律の話
「じゃあ手当を増やして基本給を下げれば、残業代は安くできるのか」。そう思われるかもしれません。
そう単純ではありません
- 残業代の計算から除外できる手当は、法律で限定されています(家族手当・通勤手当・住宅手当など)。名称だけではなく支給条件で判断し、一律支給の手当などは除外できません(大阪労働局の説明)
- それ以外の手当は、計算に入れないといけません
- 固定残業代も、何時間分でいくらかを明示し、超えた分は別に払う必要があります
だから、聞いていいんです。本来は書いてあるべきことなので。
では、なぜサイトによって差が出るのか
ここが、今回一番考えたところです。
私は求人票を出す側です。だから自分の経験から答えます。
うちは、サイトによって内容を書き分けていません
サイトによって書き分けたりはしません
「サイトごとに内容を変えますか?」と聞かれれば、答えはいいえです。
同じ求人なら、伝えたい中身は同じです。わざわざ書き分ける理由がありません。
ここが大事です。
順番に考えると、こうなります
- うちは、サイトによって内容を書き分けていない
- それなのに、サイトによって情報量が違う
- サイトの様式や担当者の助言も、情報量の差に関わっている可能性がある
求人票は、会社が一人で書いているわけではありません
あまり知られていないと思います。
サイトの担当者と、一緒に作っています
うちが求人を出すときは、こちらの要望を伝えて、サイトの担当者からアドバイスをもらって掲載しています。
「ここはこう書いた方がいい」「この欄も埋めましょう」。そういうやり取りがあります。
だから求人票は、会社の意思と、サイト側の型が混ざったものです。
入力する欄がどうなっているかは、正直こちらでは分かりません。言われるまま埋めている部分もあります。
でも、だからこそ、サイトによって出てくる情報が変わるのだと思います。基本給を書く欄があるサイトなら書きますし、なければ書きません。
無料のサイトも、必ず見てください
うちは、有料サイトを1つに絞っています
費用がかかるので、1つに絞ります
求人サイトへの掲載はお金がかかります。
だから、有料のサイトをいくつも使うことはしません。うちも1つです。
ただし、無料で載せられるところには、登録します。お金がかからないので、出さない理由がありません。
うちの場合は、Indeed(インディード)です。
つまり、こういうことです
同じ会社が、別の場所にも出ています
- 気になる会社を見つけた
- でも基本給が書いていない
- その会社は、無料で載せられるところにも出している可能性が高い
- そしてそちらには、書いてあるかもしれません
うちは、有料サイトは1つに絞り、無料で掲載できるところにも出しています。
だから、2か所を見てください
気になる会社を見つけたら
- Indeed で、同じ会社名を検索する(うちも無料で出しています)
- ハローワークでも、同じ会社を探す
今回の調査では、サイトによって記載される情報の割合に差がありました。ただし、同じ会社の求人を複数サイトで比較した調査ではありません。
ハローワークは、特に見る価値があります
理由があります。ハローワークの求人票は、様式が決まっているからです。
| 欄 | 何を書くか |
|---|---|
| a 基本給 | 基本給の金額(固定残業代を含めてはいけない) |
| b 定額的に支払われる手当 | 毎月決まって支払われる手当 |
| c 固定残業代 | ありの場合は金額を記入し、超えた分は別途支払うことを明記 |
※厚生労働省・ハローワークが示している求人申込書の様式に基づきます。詳細は最寄りのハローワークでご確認ください。
民間サイトでは「月給35万円」としか書いていない会社でも、ハローワークでは基本給と固定残業代が分かれて書いてあることがあります。
だから、こうしてください
- 民間の求人サイトで、気になる会社を見つける
- ハローワークで、同じ会社を探す(会社名で検索できます)
- 両方の求人票を並べて見る
- 片方に書いていないことが、もう片方に書いてあります
これは、応募する前に、家で無料でできることです。
面接で聞くのも大事ですが、先に調べられることは調べておいた方が、聞くべきことがはっきりします。
「月給30万〜45万円」の、45万に届く人は何人か
41件の中に、こういう書き方がいくつもありました。
実際にあった月給の書き方
- 月収例 30万円〜45万円
- 35万円〜50万円
- 331,013円〜493,000円
- 30万円〜60万円
- 40万円〜70万円(歩合制・最低保証33万円)
下と上で、15万円以上の差があります。
では、上に届く人は実際にどれくらいいるのか。うちの数字で答えます。
20人のうち、1人か2人です
上限に届くのは、そこまで働きたがる人です。
うちで言えば、20人中、1人か2人くらいです。
つまり、1割いるかどうかです。
これが、求人票の上の数字の意味です
| 下の数字(30万) | 上の数字(45万) | |
|---|---|---|
| 誰の数字か | 普通に働いた場合 | 一番働いた人 |
| 何人くらいか | ほとんどの人 | 20人に1〜2人 |
| 見るべきは | こちら | 参考程度に |
求人票を見るときは、下の数字で生活を組み立ててください。上の数字は「頑張ればここまで行ける人もいる」という話です。
求人の月給と基本給を分けて確認してください。
手当の内訳や固定残業代も、比較するときの確認項目です。
上限の金額に届くには、どれくらい働くのか
ここは、隠さずに書きます。
かなり働かないと、無理です
調べた41件の月給を見て、正直に思ったことを書きます。
上限の金額に届くには、かなり働かないと無理です。
ただし、給料の金額だけで労働時間や法令違反の有無は判断できません。上限額に届く場合の勤務時間を確認してください。
だから、時間の上限を知っておいてください
トラック運転者の労働時間には、上限があります
- 時間外労働は年960時間まで(月平均80時間)
- 拘束時間にも1日・1か月の上限があります
- これは2024年4月から適用されているルールです
「月50万円もらえます」と言われたら、こう聞いてください。
「それは、月に何時間働いた場合の金額ですか?」
この質問に答えられない会社は、その時点で分かります。
この業界の変化については2024年問題から2年に書きました。
「週休1〜2日」と書いてある会社の本音
41件の中に、この書き方が何件もありました。
「週休1〜2日」
1なのか2なのか、はっきりしません。出す側として、正直に答えます。
できれば、多く働いてほしいと思っています
「週休1〜2日」と書く会社は、できれば多く働いてほしいと思っています。
つまり、「1」の方が本音に近いということです。
「2」は、できる週もある、という意味です。
ここは、はっきり聞いてください。
休みについて聞くこと
- 「先月、実際に何日休めましたか?」(予定ではなく実績)
- 「週休2日になるのは、どういう月ですか?」
- 「希望を出せば休めますか?」
1つ目が一番大事です。「制度」ではなく「実績」を聞いてください。
「年間休日」ではなく「月9回」と書く会社
これは、私も数えていて気づいたことです。
年間休日の日数を書いている会社は、41件中11件でした。他はこういう書き方です。
実際にあった休日の書き方
- 月9回
- 月6日休み
- 月8日休制(シフト制)
- 週休1〜2日
なぜ「年間◯日」と書かないのか。私の見立てを書きます。
月の休日数に、長期休暇を含めている可能性があります
「月9回」という表記だけでは、お盆や年末年始の休みを含むのか、別に休めるのかが分かりません。
具体的には——年末年始、お盆、ゴールデンウィーク。
こういうまとまった休みがあれば、年間休日の日数として書けます。書けるなら書きます。その方が見栄えがいいですから。
記載がないだけで休めないと決めつけず、確認してください。
これは、日数が同じでも中身が違うという話です
| 「年間休日105日」 | 「月9回」 | |
|---|---|---|
| 年間の日数 | 105日 | 108日(9×12) |
| 連休 | 年末年始・お盆・GWを含むことが多い | 毎月バラバラの可能性 |
| 家族との予定 | 立てやすい | 立てにくい |
日数だけ見れば「月9回」の方が多いんです。でも、まとまった休みがあるかどうかは、まったく別の話です。
お子さんがいる方、家族と過ごす時間を大事にしたい方は、ここを必ず聞いてください。
この一言で分かります
- 「年末年始とお盆は、休みになりますか?」
うちの休みの実際は年間休日の記事に書きました。
なぜ、積み降ろしは書くのか
ここまで「書いていないこと」の話をしてきました。
でも、逆も気になりませんか。
Aサイトでは、基本給の記載は12%だった一方、積み降ろしの記載は69%ありました。お金より、仕事のきつさの方が正直に書いてある。なぜでしょうか。
出す側として、私の見立てを2つ書きます。
理由は、たぶん正反対の2つです
①最初に振り落とすため
「手積みです」と先に書いておけば、無理な人は応募してきません。入ってすぐ辞められるより、その方がいいんです。
②やりやすい仕事だから、書いている
カゴ降ろし、リフト降ろし。楽な仕事なら、書いた方が人が集まります。
つまり「振り落とすため」と「集めるため」、正反対の理由があると思います。
調べた18件を分けてみたら、きれいに半々でした
実際に数えてみました。
| どう書いてあったか | 件数 | たぶん、こういう意図 |
|---|---|---|
| 機械・リフト・台車・パレット中心 | 9件 | 楽なので集めたい |
| 手積み・手作業と明記 | 9件 | きついので先に振り落としたい |
※分類は筆者の判断によるものです。「パレットと手作業が混在」など両方を含む記載は、手作業ありに数えました。
ちょうど半分ずつでした。採用する側としては、仕事内容を先に伝える意図と、働きやすさをアピールする意図があるのではないかと考えています。
実際にあった書き方を並べると、違いがよく分かります。
集めたい側の書き方
- 「手積み手卸しナシ」
- 「積み下ろしは基本フォークリフトを利用」
- 「重量物の積み下ろしは機械を使用する」
- 「台車を用いた運搬を行います」
振り落としたい側の書き方
- 「手積み」
- 「手積み・手降ろしで、台車を用いて運搬」
- 「原則手で積み下ろし作業、重量物はフォークリフト」
では、書いていない8件は何なのか
Aサイト26件のうち、積み降ろしについて何も書いていない求人が8件ありました。これをどう読むか。
楽な仕事なら、内容はしっかり書きます
私が求人票を書く立場なら、こうします。
楽な仕事なら、内容はしっかり書きます。
だってその方が、人が集まりますから。書かない理由がありません。
では、書いていないのはなぜか。考えられるのは2つです。
- いろんな仕事があって、書けない(荷物が日によって違う)
- しんどい仕事なのかもしれない
ここから、ひとつの読み方ができます
積み降ろしの記載がない求人を見たら
- 「楽な仕事なら書くはず」——書いていないのは、そうではない可能性
- ただし「荷物が日によって違うから書けない」だけのこともある
- どちらなのかは、聞けば分かります
決めつけないでください。本当に書きようがない会社もあります。
だから、こう聞いてください。
この2つを聞けば分かります
- 「荷物は毎日同じですか、日によって変わりますか?」
- 「積み降ろしは、手作業ですか。機械を使いますか?」
ここですらすら答える会社は、書かなかっただけです。言葉を選ぶ会社は、書けなかったのかもしれません。
うちの積み降ろしの実際はこの仕事はきついのかに書きました。基本的に手作業です。隠していません。
なお、フォークリフトの資格があると、任される仕事が変わります。求人票に「フォークリフト」と書いてある会社なら、持っていることが強みになります。
地域が違えば、金額も変わります
最後に、大事な注意です。
物価が違うので、運賃も違います
荷主さんから、こう聞いたことがあります。
関東圏・中部圏・関西圏では、物価が違うため運賃も違う。
運賃が違えば——給料の体系も違ってくるはずです。
だから、こうしてください。
求人票の月給を比べるとき
- 同じ地域どうしで比べる
- 他の地域の金額を見て「うちの地域は安い」とすぐに判断しない
- それより同じ荷物・同じ車格で比べる(食品と建設資材では別物です)
この記事の数字も、地域差の証明にはなりません。41件では少なすぎるからです。
数字として出せるのは「書き方の傾向」だけです。金額の高い安いは、ご自身の地域で確かめてください。
求人票は内訳と実績を確かめる
求人票41件を数えて分かったこと
- 基本給が書いてあるのは 41件中12件(29%)。ただしサイト別では12%と60%
- 積み降ろしを書く理由は正反対の2つ。機械・台車・パレット中心9件と手作業あり9件で半々(Aサイトの18件)
- Aサイトで積み降ろしを書いていない8件は、作業内容の確認が必要(ただし荷物が日替わりで書けないだけのことも)
- サイトが違うだけで、基本給の記載率が12%と60%(5倍)だった
- 逆に車格(92%と93%)や積み降ろしは、サイトが違ってもほぼ同じ
- 基本給を書かないのは「少なく抑えたいが、書くと見た目が悪い」から
- 実例:月給37万円のうち、基本給13万5千円・固定残業代最大22万円という求人があった
- うちはサイトごとに内容を書き分けない。情報量の差には、サイトの様式も関わっていると考えている
- 求人票はサイトの担当者とやり取りして作っている(会社が一人で書いているわけではない)
- 有料サイトは費用がかかるので1つだけ。でも無料のところ(うちはIndeed)には出す
- だから気になる会社は、Indeedとハローワークでも探す。書いてある量が違います
- 「月給30万〜45万」の45万に届くのは、20人中1〜2人
- 上限に届くには、かなり働かないと無理(時間外は年960時間が上限)
- 「週休1〜2日」は「1」が本音に近い
- 「月9回」と書く会社は、年末年始・お盆・GWがない可能性
- 地域で運賃が違うので、月給は同じ地域どうしで比べる
求人票は、嘘は書いていません。
でも、書いていないことがあります。そして書いていない部分に、あなたが知りたいことが入っています。
だから、面接で聞いてください。中小の運送会社なら、決められる人が面接に出てきます(面接の記事)。その場で全部聞けます。
聞いて嫌な顔をする会社なら、その反応が答えです。
まずは3社、求人票を並べて比べてみる
トラックマンジョブで求人を探す