トラックで事故を起こしたらどうなる?|社長が答える給料・弁償・処分のリアル
※記載内容は筆者個人の経験に基づく見解です。事故時の対応は会社により大きく異なります。
地方でトラック運送会社を経営しています。ドライバーを20名ほど雇っています。
ドライバーを目指す方、今まさに働いている方が、口には出さないけれど一番怖がっていること——それが事故です。
そして不安の中身は、だいたいこの3つだと思います。
- 修理代を弁償させられるのか
- 給料はどうなるのか
- クビになるのか
この記事では、うちの会社が実際にどうしているかを、包み隠さず書きます。
まず、うちの実際の扱いを全部書きます
うちの場合:手当が減るだけで、請求はしません
うちでは「無事故手当」を月3万円ほどつけています。事故がなければ、毎月もらえるお金です。
そして事故を起こしてしまった場合、こうなります。
- 無事故手当から、毎月1万円ずつ引く
- 引くのは最大3万円まで(それ以上は引きません)
- それ以外に、修理代などを請求することはありません
つまり、事故を起こしても金銭的な負担は最大3万円ということです。トラックの修理代が何十万円かかっても、本人に請求はしません。
ただし、お金以外にやってもらうことがあります。
- 面談をして、状況を確認する
- なぜ事故が起きたのか、報告書を書いてもらう
これは責めるためではありません。同じ事故を二度と起こさないためです。
なぜ、修理代を請求しないのか
「会社が損をするだけでは?」と思われるかもしれません。会社側の理屈を正直に書きます。
1. 事故は「起こそうとして起きる」ものではないから
どれだけ気をつけていても、事故は起きるときは起きます。長い時間、公道を走る仕事です。確率の問題として、いつかは何かが起きます。
それを本人の財布から払わせても、事故が減るわけではありません。
2. 請求すると、事故を隠すようになるから
これが一番大きい理由です。
弁償させる会社では、ドライバーは小さな事故を報告しなくなります。擦った、ぶつけた、を黙っている。そして後で大きな問題になる。
会社にとって一番怖いのは、事故そのものより「隠されること」です。だから報告しやすい環境を作る方が、結果的に安全になります。
3. 保険に入っているから
運送会社は当然、任意保険にも入っています。そのための保険です。個人に負わせるためのものではありません。
【重要】でも、会社によって全然違います
ここが、この記事で一番伝えたいところです。
うちは請求しませんが、すべての運送会社がそうだとは限りません。
実際に、こういう話は業界で耳にします。
- 修理代の一部(あるいは全部)を請求される
- 給料から毎月天引きされ続ける
- 事故を理由に、条件の悪い仕事に回される
だからこそ、入る前に必ず確認してください。
面接で必ず聞いてほしいこと
- 「事故を起こした場合、修理代の請求はありますか?」
- 「無事故手当はありますか? 事故の場合、どれくらい減りますか?」
- 「減額に上限はありますか?」
- 「任意保険には加入していますか?」
この質問をして、嫌な顔をする会社・曖昧に濁す会社は、避けた方がいいと私は思います。
まともな会社なら、はっきり答えられます。私も聞かれたら、この記事に書いたとおりに答えます。
クビになるのか
結論から言うと、1回の事故でクビになることは、まずありません。
理由は簡単で、今どこの運送会社も人手不足だからです。育てた人を1回のミスで手放す余裕は、正直ありません。
ただし、次のようなケースは別です。
- 飲酒運転など、明確な法令違反
- 事故を報告せず、隠していた
- 同じような事故を何度も繰り返す
特に「隠す」は、事故そのものより重く見られます。ここだけは覚えておいてください。
事故を減らすために、会社は何をしているのか
会社選びの参考として、「まともな会社は何をしているか」も書いておきます。
2024年問題で、うちも実際に変わりました
いわゆる「2024年問題」で、拘束時間と残業時間の取り締まりが強化されました。これは現場に大きな影響がありました。
うちがやったことは、こうです。
- 社員としっかり話し合った(働き方が変わるので)
- 荷主さんとも話し合った(時間指定や待機の見直し)
- 36協定をきちんと結んでいる
- タコグラフで運行を記録・管理している
特に大事なのは、荷主さんと話し合ったことだと思っています。
拘束時間が長くなる原因の多くは、荷主先での待機です。ここは運送会社だけでは解決できません。荷主に「これ以上は待てません」と言えるかどうかで、ドライバーの働き方は変わります。
だから会社選びでは、「2024年問題にどう対応しましたか?」と聞いてみてください。具体的に答えられる会社は、きちんとやっています。
そのほか、まともな会社なら次のことをやっています。
- 出発前後の点呼(アルコールチェック・体調確認)を毎回きちんと行う
- 車両の整備・点検を怠らない
- 無理な運行スケジュールを組まない
逆に、点呼が電話一本で終わる会社は危険です。詳しくはブラック運送会社の見分け方7つに書きました。
事故を起こしてしまったら、まずやること
万が一のときのために、順番だけ書いておきます。
- けが人の救護と、安全の確保(これが最優先)
- 警察へ連絡(どんな小さな事故でも必須です)
- 会社へ連絡(隠さない。これが一番大事)
- 相手の連絡先・状況の記録
会社への連絡を先延ばしにしないでください。早く言ってくれた方が、会社も動けます。怒られるのが怖くて黙っていると、事態は必ず悪くなります。
まとめ
この記事の要点
- うちの場合、事故時の負担は最大3万円(手当の減額のみ)
- 修理代の請求はしない。保険はそのためにある
- ただし会社によって扱いは全然違う
- 面接で「事故時の扱い」を必ず確認する
- 1回の事故でクビはまずない。ただし「隠す」は別
- 2024年問題への対応を聞くと、会社の姿勢が分かる
事故が怖いのは当然です。怖いと思っている人ほど、安全運転をします。それは悪いことではありません。
大事なのは、「事故を起こしたときに、守ってくれる会社を選ぶこと」です。
事故時の扱いまで確認できる会社を探す
求人票には、事故時の扱いまで書いてあることはまずありません。だからこそ、複数の会社を見て、面接で直接聞くしかありません。
- ドライバー専門の求人サイトを使う(条件が細かく書かれています)
- 複数のサイトに登録しておく(掲載企業が違うので、比べる材料が増えます)
- 最低3社は面接を受ける(比べて初めて、良し悪しが分かります)
まずは選択肢を増やすところから
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