トラック運転手の夏は本当にきつい|熱中症が起きた日、会社が何をしたか
※記載内容は筆者個人の経験に基づく見解です。地域・荷物・季節により条件は大きく異なります。
地方でトラック運送会社を経営しています。ドライバーを20名ほど雇っています。
この仕事は、天候に一番左右される仕事だと思っています。
空調の効いた部屋で働く仕事とは、そこが決定的に違います。真夏でも、真冬でも、雨でも、荷物は運ばなければなりません。
この記事では、夏と冬の現実を、実際にあったことを含めて書きます。
結論:きついのは、圧倒的に夏です
夏の方が、はっきりきついです
「夏と冬、どちらがきついか」。迷わず夏と答えます。
冬は、着込めばなんとかなります。動いていれば体も温まります。
でも夏は違います。脱ぐにも限界があります。そして、荷物の積み降ろしは体を動かす作業です。動けば動くほど、体温が上がっていきます。
ここは、正直にきついと書いておきます。
実際に、熱中症は起きています
きれいごとを書いても仕方がないので、実際にあったことを書きます。
その日、私がやったこと
うちでも、熱中症で具合が悪くなったことがあります。
連絡を受けて、私がやったのはこれです。
- すぐに現場へ行きました
- ドライバーを交代させました
- その場で休ませました
「あと少しだから頑張れ」とは言いません。その日の仕事より、体の方が大事だからです。
そして後日、熱中症対策のタブレットとドリンクを、全社員に支給しました。
一人に起きたことは、他の19人にも起きうることです。だから、個人の問題として終わらせませんでした。
ここに、会社の本質が出ます
この話で注目してほしいのは、私の対応ではありません。「交代できた」という事実です。
体調を崩したとき、会社によって起きることが違います
- ◎ 代わりの人を出して、その場で休ませる
- △ 「近くのコンビニで休んで、落ち着いたら続けて」
- × 「今日は代わりがいないから、なんとか回してくれ」
違いを生むのは、社長の人柄だけではありません。代わりに行ける人がいるかどうか——つまり、会社に余力があるかどうかです。
ギリギリの人数で回している会社は、「休ませたくても休ませられない」のです。
実際、2026年の夏、うちでは3人が長期で休みました。そのとき誰が穴を埋めたかは、こちらに書いています。
これは潰れる運送会社の特徴にも書いた話とつながります。安い仕事を詰め込んでいる会社は、こういうときに人を守れません。
ちなみに、熱中症対策は会社の義務になりました
知っておいていただきたいことがあります。
2025年6月からのルール
- 一定の暑さの中で作業する場合、熱中症対策が事業者の義務になりました(労働安全衛生規則の改正)
- 具合が悪くなった人を見つけたときの報告体制を整えること
- 重症化を防ぐための手順を作り、働く人に周知すること
※対象となる作業環境や具体的な内容は定められています。詳しくは厚生労働省の案内や、お住まいの地域の労働基準監督署でご確認ください。
つまり、「暑いのは我慢するもの」という時代ではなくなっています。何もしていない会社は、それだけで遅れているということです。
なぜ、夏はここまできついのか
「エアコンがあるでしょう」と思われるかもしれません。ここは書いておきます。
アイドリングOKな場所では、エアコンをつけたままです
荷降ろしや待機の間、アイドリングが認められている場所では、エンジンをかけたままにしています。
つまり、エアコンは効いています。
ただ、ここが問題です。荷主先によっては、アイドリングが禁止されています。
その場合、エンジンを止めることになります。そうすると、夏の車内は、あっという間に蒸し風呂になります。
そして忘れてはいけないのが、荷台の中です。ここは、外よりもはるかに暑くなります。積み降ろしは、特に暑さがこたえる作業です。
だから、面接ではここを聞いてください
夏の働き方について確認すること
- 「荷主先で、アイドリングは可能ですか?」
- 「夏場、飲み物の支給はありますか?」
- 「体調が悪くなったとき、代わりの方に来ていただけますか?」
- 「空調服などの支給・補助はありますか?」
「体調が悪くなったら、どうなりますか」——この質問への答え方に、会社の姿勢がそのまま出ます。
ここまで読んで、「実際の求人はどうなっているんだろう」と思われたら——
先に求人を1つ2つ見ておくと、この続きが具体的に読めます。
では、冬はどうか
先に断っておきます。うちは、あまり雪が降る地域ではありません。
ですから、豪雪地帯の大変さについては、私が経験として語れることは多くありません。そこは正直に書いておきます。
そのうえで、冬について確実に言えることを書きます。
雪の日、荷物を出すかどうかは荷主さんと確認します
荷物を出すかどうかは荷主さんが決めます。ただし、安全に運べるかを判断する責任は運送会社にもあります。荷主さんの依頼があっても、安全を確保できない場合は運行を中止する判断が必要です(国土交通省の案内)。
ただし、こちらから交渉することはあります。
「今日は危ないので、運行を取りやめさせてください」と、あらかじめ荷主さんにお願いして、止めてもらう場合があります。
そして、冬の装備(タイヤなど)は事前に必ず準備しています。雪が降ってから慌てる、ということはしません。
ここが、会社を見分ける決定的なポイントです
大雪や台風のとき、ドライバーが自分で「今日はやめます」と決めるのは、現実には難しいことです。
だから問題になるのは、こうです。
荒天のとき、会社がどう動くか
- ◎ 会社が荷主に交渉して、運行を止めてくれる
- ◎ 冬の装備を、シーズン前にきちんと用意している
- × 「荷主さんが行けと言っているから」で終わり
- × 装備が古いまま、現場任せ
ドライバーと荷主の間に立って、盾になってくれるかどうか。これは、事故のリスクに直結します。
だから面接では、「大雪や台風のとき、運行の判断はどうされていますか?」と聞いてみてください。
「荷主さん次第です」としか答えない会社と、「危ないときは荷主に交渉します」と答える会社では、冬の3ヶ月がまったく違うものになります。
事故を起こしたときの扱いについてはトラックで事故を起こしたらどうなる?に書きました。荒天での無理は、そのまま事故につながります。
自分で用意しておくといい物
会社が支給してくれるものもありますが、自分で持っておくと違います。
うちのドライバーが実際に持っている物
【夏】
- 飲み物(多めに。1本では足りません)
- 凍らせたペットボトル(冷たさが長持ちして、首も冷やせます)
- タオル
【冬】
- 長靴
冬については、うちの地域はあまり雪が降らないので、そこまで特別な物は必要ありません。雪の多い地域なら、また事情は変わると思います。
特に凍らせたペットボトルは、現場の知恵だと思います。飲み物としても使えますし、首や脇に当てて体を冷やすこともできます。
体調不良や荒天時の対応を聞いておく
この記事の要点
- きついのは、はっきり夏。冬は着込めばなんとかなる
- うちでも熱中症は起きている。すぐ現場へ行き、交代させ、その場で休ませた
- その後、全社員にタブレットとドリンクを支給した
- 大事なのは「代わりに行ける人がいるか」=会社に余力があるか
- 2025年6月から、熱中症対策は事業者の義務になっている
- アイドリングOKならエアコンは使える。禁止の荷主先では車内が蒸し風呂になる
- 荷物を出すかは荷主さんと確認する。安全に運べない場合、会社が運行を止める判断をする
- 自分で持つなら、夏は凍らせたペットボトル、冬は長靴
暑さも寒さも、この仕事から消すことはできません。
でも、会社によって、その過酷さは何倍も変わります。
体調を崩したときに交代を出せる会社か。荒天のとき、荷主に「今日はやめます」と言える会社か。それは入る前に、質問すれば分かります。
きつさ全般についてはトラック運転手はきついのかにまとめました。
働く環境まで見て、会社を選ぶ
求人票には、給料と休みしか書かれていないことが多いです。でも実際に効いてくるのは、こういう部分です。
もっとも、そこに書かれている休日数が、そのまま取れるとは限りません。うちが実際に何日休んでいるかはトラック運転手に休みはあるのかに書いています。
- ドライバー専門の求人サイトを使う(設備や支給品の記載があることが多いです)
- 複数のサイトに登録しておく(掲載企業が違うので、比較できます)
- 面接で「夏場の対策」と「荒天時の判断」を必ず聞く