持病があってもトラック運転手になれるか|健診で引っかかったらどうなるか経営者が答えます

業界20年/運行管理者/運送会社 経営者(ドライバー20名を雇用) 運営者について
持病があってもなれるのか 健診で引っかかったら、どうなるか。人物・場所・車両はイメージです。
※画像はAI生成イメージです。
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※記載内容は筆者個人の経験に基づく見解です。健康状態の判断は必ず医師にご相談ください。

地方でトラック運送会社を経営しています。ドライバーを20名ほど雇っています。

この記事は、こういう方に向けて書きます。

こんな不安を持っている方へ

  • 血圧の薬を飲んでいるが、応募していいのか
  • 糖尿病と言われた。この仕事はもう無理なのか
  • 健康診断で引っかかったら、クビになるのか
  • 持病があることを、面接で言うべきか

誰にも聞けない不安だと思います。雇う側の立場から、正直に答えます。

結論:持病があっても、働いている方はいます

現場から

持病のある方も、うちで働いています

まず、事実から書きます。

持病のある方も、うちで現在働いています。

持病があることを理由に、辞めてもらったことはありません。

この業界は、年齢層が高めです。50代、60代になれば、何かしら数値に問題が出てくる方が普通にいます。それで全員を切っていたら、会社が回りません。

持病があるだけで、働けないと決まるわけではありません。ただし、乗務できるかどうかは、症状や薬の影響、仕事内容を踏まえ、医師の意見を確認する必要があります(国土交通省の健康管理マニュアル)。

健康診断で引っかかったら、どうなるのか

ここが一番心配なところだと思います。

現場から

再検査を受けていただきます。それだけです

健康診断で引っかかった方には、もう一度、受診・検査を受けていただきます。

それだけです。その場で乗務を外すとか、辞めさせるとか、そういうことはしません。

まずは正しく調べる。原因を確かめる。話はそこからです。

ちなみに、うちは健康診断を年1回、会社負担で行っています。これは会社の義務でもあります。

むしろ、逆を心配してください

ここは大事なところなので、はっきり書きます。

健診について、会社を見分けるポイント

  • ◎ 健康診断を年1回、会社負担で受けさせる
  • ◎ 引っかかった人に再検査を受けさせる
  • × そもそも健康診断をやっていない
  • × 結果を放置して、何もしない

健康診断は、会社の義務です。やっていない会社は、法令を守っていないということです。

そして、結果を放置する会社の方が、実は怖いと思ってください。

倒れてから「知らなかった」では済みません。運転中に意識を失えば、他人の命に関わります。だから、うるさく再検査を言う会社の方が、あなたを守っています。

健康診断を含む福利厚生については運送会社の福利厚生に書きました。

体調を崩して、乗れなくなった方の話

ここも隠さずに書きます。

現場から

数ヶ月休職して、復帰された方がいます

健康上の理由で、乗務を続けられなくなった方は実際にいます。

ただし、そのまま終わりではありません。

数ヶ月の休職を取って、復帰された方もいます。

体を治して、戻ってくる。うちはそれでいいと思っています。

長く働いてくれた方を、体調を崩した瞬間に切り捨てるようなことはしたくありません。ドライバーは財産だからです。

「休める仕組み」があるかを確認してください

これは求人票では絶対に分からない部分です。

面接で聞いておくといいこと

  • 「病気で長く休むことになった場合、どういう扱いになりますか?」
  • 「休職の制度はありますか?」
  • 「健康診断は年何回、費用はどちらの負担ですか?」
  • 「復帰された方は、これまでにいらっしゃいますか?」

特に最後の「復帰した人はいますか」——これが一番正直な答えを引き出します。制度があっても、使われていなければ意味がないからです。

なお、健康保険に加入していれば、病気で働けない期間に傷病手当金という制度を使える場合があります。社会保険がきちんと整っている会社を選ぶ意味は、こういうところにも出ます。

ここまで読んで、「実際の求人はどうなっているんだろう」と思われたら——
先に求人を1つ2つ見ておくと、この続きが具体的に読めます。

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)について

ドライバーの健康の話で必ず出てくるのが、これです。眠っている間に呼吸が止まり、日中に強い眠気が出る病気です。

現場から

うちでは、SASの検査は行っていません

弊社では、睡眠時無呼吸症候群の検査は実施していません。

これは、うちの弱いところだと思っています。隠しても仕方がないので書いておきます。

大手の運送会社では、スクリーニング検査を実施しているところがあります。国としても、事業者に検査を勧めています。

ですから、「SASの検査をやっている会社」は、それだけ安全にお金をかけていると考えていいと思います。

※SASのスクリーニング検査は、現時点で全事業者に義務づけられているものではありませんが、国土交通省が対策マニュアルを出して実施を推奨しています。

もし「いびきがひどい」「寝ても疲れが取れない」「日中に強い眠気がある」という自覚があるなら、会社の制度を待たずに、一度ご自身で医療機関に相談してみてください。

これは、あなた自身を守る話です。

なお「自分が休んだとき」だけでなく「他の人が抜けたとき」も気になるところだと思います。うちで実際に3人が長期で休んだときの話は、別の記事に書きました。

持病は、隠すべきか

ここが、この記事で一番聞きたいところだと思います。

採用する側として、はっきり答えます。

現場から

聞かれたら、正直に伝えた方がいいです

持病のことは、確認されたら正直に伝えた方がいいと思います。

理由は3つあります。

① 隠しても、健康診断で分かります

入社後に健診があります。そこで出てきたとき、「なぜ言わなかったのか」という話になります。最初に言っておけば、何の問題もなかったことが、問題になってしまいます。

② 言ってもらえないと、配慮ができません

これが一番大きいです。

知っていれば、通院の日に休みを合わせられます。負担の軽いコースに替えることもできます。知らなければ、何もしてあげられません。

③ 事故が起きたとき、本人が一番困ります

体調が原因で事故を起こした場合、隠していた事実は必ず出てきます。そのとき一番苦しい立場になるのは、本人です。

言い方のコツ

正直に言うことと、不利になることは別です。伝え方で印象は変わります。

治療の状況を具体的に伝える例

  • △「糖尿病です」
  • ◎「糖尿病で通院していますが、薬でコントロールできていて、医師からも勤務に問題ないと言われています」
  • ◎「月に1回、通院の日だけお休みをいただけると助かります」

採用する側が知りたいのは、病名そのものではありません。「安全に、働き続けられるかどうか」——それだけです。

治療の状況や医師から受けている指示を、仕事内容と合わせて伝えてください。伝え方だけで採用や乗務の可否が決まるわけではありません。

ただし、運転そのものに関わる病気は別です

ここは、優しいことだけ書くわけにいきません。

免許に関わる話

  • 運転免許の取得・更新のときに、一定の病気について申告を求められます(質問票)
  • 運転中に意識を失うおそれのある病気は、この対象に含まれます
  • 虚偽の申告には、罰則があります

※どの病気がどう扱われるかは、症状や治療の状況によって個別に判断されます。必ず主治医と、公安委員会(運転免許センター)にご相談ください。この記事の内容は一般的な説明であり、個別の判断を保証するものではありません。

通院中かどうかだけでは、安全に運転できるかは判断できません。症状や治療によっては、低血糖などが運転に影響する場合もあります。主治医に運転業務の内容を伝えて相談してください。

運転に支障がある症状を隠して乗ることは、絶対にしないでください。ご自身のためであり、道を歩いている誰かのためでもあります。

持病がある場合は、働き方と会社の対応を確認する

この記事の要点

  • 持病のある方も、うちで働いています
  • 健診で引っかかったら、再検査を受けてもらうだけ。それで辞めさせることはない
  • 健康診断は年1回・会社負担。やらない会社の方が問題です
  • 体調を崩しても、数ヶ月休職して復帰した方がいます
  • SASの検査は、うちはやっていない(やっている会社は安全に投資しています)
  • 持病は、聞かれたら正直に伝える。隠すと健診で分かるし、配慮もできない
  • 伝え方は「治療中・コントロールできている・医師の許可がある」の3点
  • ただし運転中に意識を失うおそれのある病気は別。必ず医師と公安委員会に相談を

持病があるから、この仕事は無理だ。——そう決めつけて諦める必要はありません。

大事なのは、ちゃんと治療をして、正直に伝えて、無理をしないことです。それができれば、長く働いている方はたくさんいます。

実際、うちの最高齢は75歳で現役です。詳しくはトラック運転手は何歳まで働けるのかに書きました。

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※本記事は筆者の経営者としての経験に基づく個人的見解であり、医学的・法的な助言ではありません。健康状態や就業の可否については必ず主治医に、運転免許に関わる事項は公安委員会(運転免許センター)にご相談ください。企業の制度は会社により大きく異なります。