一度辞めて戻ってきたドライバーに聞きました|「他の会社が、よく見えていただけでした」
※本人の同意を得て掲載しています。氏名・年齢・前の勤め先は記載していません。1人の体験であり、会社によって事情は大きく異なります。
地方でトラック運送会社を経営しています。ドライバーを20名ほど雇っています。
うちのドライバー20人のうち、3〜4人は一度辞めて、また戻ってきた方です。
その1人に、直接聞きました。辞めた理由から、戻りたいと言い出すときの気まずさまで、そのまま載せます。
先に、一番大事なところを書きます
「特にこの会社が嫌になったわけではありませんでした」
では、なぜ辞めたのか。
「他の会社がよく見えていたというのが現実です」
そして、戻ってきた理由も同じでした。
外に出てみたら、よく見えていたものが、そうでもなかった。辞めた理由と戻った理由が、同じ一つのことだったということです。
私は辞めたい人へ書いた記事で「隣の芝は青く見えるは、本当にある」と書きました。本人の口から、同じことが出てきました。
まず、なぜ辞めたのか
「同じ仕事をするなら、他の会社がいいと思って転職しました」
他の会社のほうが給料が良かった。それが理由でした。
ここは、雇う側として反論できないところです。給料の中身は求人票を見比べれば分かります。
ただし、この方は ほかの人の辞め方についても話しています。
「社内の仕事内容に不満があって辞めていく方も多いです」
給料で移る人と、仕事の中身が合わなくて辞める人。周りを見ていると、この2通りだそうです。
ここで、私は自分の書いたものと突き合わせることになりました。あとで書きます。
会社に言った理由と、本当の理由は同じだったか
これは、外さずに聞きました。都合の悪い答えが返ってくる可能性がある質問です。
「同じです」
短い答えでした。
本当の理由を隠して辞めたわけではない、ということです。
正直に言うと、私は違う答えを予想していました。言いにくい本音があって、当たり障りのない理由を告げて辞めるものだと思っていたからです。
ここまで読んで、「実際の求人はどうなっているんだろう」と思われたら
先に求人を1つ2つ見ておくと、この続きが具体的に読めます。
引き止めは、あったのか
「引き止めはありました」
ただし、結果は変わりませんでした。
「その時はもう辞めようと思っていたので、断りました」
雇う側から見ると、ここは覚えておく価値があります。引き止めが効くのは、迷っている段階までです。本人の中で決まってしまったあとでは、条件を出しても遅いということです。
外に出て、何が違ったか
「運送会社によって、中身や人との関係が全然違いました」
仕事そのものは似たようなものだったそうです。
違ったのは、その周りでした。
きついかどうかは会社によると書いてきましたが、実際に2社を経験した人が同じことを言っています。
次の会社のほうが良かったこと
ここは、うちにとって都合の悪い質問です。そのまま聞きました。
「少し大きい会社に行ったので、管理がしっかり行き届いていました」
会社の規模が違うと、そこが違う。それが良かった点として挙がりました。
ところが、この方は続けてこう言いました。
「悪く言えば、すべて監視されている感じで嫌でした」
車内カメラ、ドライブレコーダー、スピード、アクセルの踏み方。
「とても厳しく管理されます」
読み返してみてください。良かったことと、嫌だったことが、同じ一つのことです。
管理が行き届いている会社は、安全面では安心できます。その同じ仕組みが、日々の運転では「見られている」感覚になる。どちらが正しいという話ではありません。
これから会社を選ぶ方は、ここを知っておいてください。「管理がしっかりしている」は、人によって長所にも短所にもなります。
求人票や面接では、分からなかったこと
「話が違うな、ということはありました」
求人票や面接で伝えられるのは、給料、休み、そして軽い仕事の説明だけ。
「実際に入って仕事をしてみると、あれっという部分は出てきます」
具体的には、仕事内容が言われていたのと違ったそうです。
これは、出している側として認めなければいけません。求人票でぼかしているところは、私も白状しています。
ただし、聞けば答えます。面接で確かめるべきことをまとめてあります。聞かなかったことは、書いていないままになります。
戻ろうと決めたとき
「こちらのほうが、今後のびのび仕事ができると思いました」
決め手として挙がったのは、この3つでした。
環境、働きやすさ、人の良さ。
給料の話は出てきませんでした。辞めるときは給料で移ったのに、戻るときは違うものを見ています。
戻りたいと言い出すのは、気まずくなかったか
この記事を読む方が、一番知りたいところだと思います。
「少し気まずさはあります」
ここは、正直に認めています。
では、どうやって切り出したのか。
「管理者に連絡をしてみたら、すぐに受け入れてくれました」
特別な段取りがあったわけではありません。連絡を1本入れただけです。
戻ってから、周りの態度は
「何もなかったですね」
気まずいのは、連絡する前の、本人の中だけだった。そういうことだと思います。
給料は、どうなったか
「私の場合は上がりました」
ただし、条件があります。
うちは小さい会社です。辞めたあと、同じ仕事には別の人が入っていました。
だから今は違う仕事をしています。コースと時間帯によって給料が変わるので、結果として上がったということです。
ここは正直に書いておきます。戻れば給料が上がる、という話ではありません。空いている仕事が何かによって変わります。
辞めようか迷っている人へ
ここから先は、会社にとって都合の良い話ではありません。そのまま載せます。
「一回やめてみてもいいと思います」
理由も聞きました。
「他の会社を見るのも、いい経験になります」
「自分の中で、どの会社がいいという判断もつくと思います」
実際に外へ出て、戻ってきた人の言葉です。私が言っても説得力はありませんが、この方が言うと重みが違います。
そのうえで、注意も付け加えています。
「会社によっては、出戻りができない会社もあります」
「そこは十分に気をつけたほうがいいと思います」
そして、こう続けました。「辞めようと思っている方は、出戻りなど まず考えていないと思いますが」
辞めるときに「戻れるかどうか」を考える人は、たしかにいないと思います。だからこそ、ここに書いておきます。
「今の時代、転職が当たり前です」
「自分のスキルや経験を他の会社で活かせるなら、全然 踏み出していいと思っております」
逆に、戻らないほうがいいのは
「自分の得意なスキルを活かせないと思えば、戻らないほうがいい」
例として挙げたのは、車のことでした。
うちは3トン車18台・4トン車3台で、大型は1台もありません。
大型に乗りたい人にとって、ここに戻る理由はない、ということです。
「別に戻る必要はない人は、たくさんいます」
「辞める際、何か不満があって辞めていると思うので」
「他にも何百、何千という会社がある中で、一つの会社に固執することはない気はします」
この方は、戻ることを選びました。その本人が「戻らなくていい人もいる」と言っています。ここを削らずに載せます。
雇っている側から、正直に
私が見ていたものと、少し違いました
聞き取りをしたのは、この方を雇っている私です。会社に都合の悪いことは言いにくかったはずです。そこは差し引いて読んでください。
そのうえで、1つ書いておきます。
私は別の記事で、辞める理由は「人間関係」と「給料」の2つだと書きました。
この方が挙げたのは、「給料」と「仕事内容」でした。人間関係は出てきませんでした。
どちらが正しいという話ではないと思います。経営者に見えているものと、現場で働く人に見えているものが、同じとは限らないということです。
私のところには「人間関係で辞めます」と伝わる。本人同士では「あの仕事が合わない」と話している。そういうことかもしれません。
辞めた理由と、戻った理由は同じでした
一度辞めて戻ってきた人に聞いて分かったこと
- 辞めた理由は「他の会社がよく見えた」。給料が良かった
- 会社に言った理由と本当の理由は同じだった
- 引き止めはあったが、もう決めていたので断った
- 次の会社は管理が行き届いていた。同時に、それが監視に感じて嫌だった
- 求人票と面接では分からず、「話が違うな」という部分があった
- 戻る決め手は環境・働きやすさ・人の良さ。給料ではなかった
- 言い出すのは少し気まずかった。連絡したら、すぐ受け入れられた
- 戻ってから周りの態度は「何もなかった」
- 給料は上がった。ただし違う仕事に就いたから
- 「一回やめてみてもいい」。ただし出戻りができない会社もある
- 得意なことを活かせないなら、戻らないほうがいい
この方は、辞めるときも戻るときも、比べた相手は同じ2社でした。
変わったのは会社ではなく、見え方のほうです。
外から見ているうちは、隣がよく見えます。中に入ると、そこにも良いところと悪いところがある。それが分かっただけでも、外に出た意味はあったのだと思います。